[voice icon=”https://yukogendo.com/wp-content/uploads/0007_original.png” name=”げんどうゆうこ” type=”l”]今回は「対話型組織開発」について書いてみます。私が行なっているのは対話のファシリテーションですが、組織と契約させていただいき、その組織と対話をしながら目指す方向へ進めるよう支援するという働き方をしています。なので今日はちょっと詳しく説明してみますね。[/voice]
最近、組織開発の分野では「対話型組織開発」が話題になってきています。
8月に行われたODNJの年次大会でも対話型組織開発に関するセッションが行われていましたね。
「対話型組織開発」と聞くと「あー対話って流行ってるよね。ワールド・カフェとかやって皆で話し合って進めましょうってことでしょ?」と思いますが、( 私も最初そう思いました。) そうではないようです。
対話の学校の吉田創さんの言葉を引用すると、対話型組織開発は
世の中も組織も複雑で、今も先も読めなくて、ちゃんと分析して計画しても思った結果が出るとは限らない。だから過去や現在の枠にとらわれず知恵を集め、みんなで歩み続けましょう』というマインドも組織に浸透すること
※マインド「も」としているのは、皆で試行錯誤する中で進む以外に管理統制が必要なケースも同時にあるから、だそうです。
ワールド・カフェやOST、AIなどの様々な対話の手法があって、その手法は手法で使うメリットがあると思います。ただ、その手法をとりいれましょうというのが対話型組織開発なのではなくて、対話しながら皆で解を探って進んでいきましょうという意識を組織に浸透させていくことが対話型組織開発と言えるようです。
分かりやすく伝えるために極端な例で説明すると
A. 何か特別なメソッドを使って一気に組織を変えてくれというマインドの組織
B. (上記のように) 対話しながら皆で解を探って進んでいきましょうというマインドの組織
2つの組織があったとして、ワールド・カフェなどの手法を導入するとAは一過性のイベントのように盛り上がって終わる可能性が高くなり、Bは日々の実践 (会議から日々のちょっとした話し合いまで) まで変わっていく可能性が高くなります。
なので、様々な手法や、教育などのアプローチを通してチーム・組織一人ひとりのマインドセットを変えていき、それを広く組織に浸透させていくことが、その組織が自律的に成長していく組織になるポイントなのだと思います。
それにしてもなぜ組織開発の中でも「対話型組織開発」と呼ばれるものが出てきているのでしょうか。それは、社会がどんどん複雑かつ予測不可能になっているため、外部コンサルタントが分析をして外から「解を与える」ということができなくなってきているからと言えるでしょう。
ある課題や状況に直面した時、その状態がどんな状態かを分類するフレームワークでクネビンフレームというものがあります。
Dave Snowden and Mary Boone ” A Leader’s Framework for Decision Making” より。
このフレームワークを使って伝えると、組織やそこでの状況、課題がComplicated → Complexになってきているのだと思います。私もコンサルタントをしていたので、プロジェクトに入って現状分析をし、その結果これがベストな対応方法です、という提案を行ったことが多々あります。組織開発でも、事前に組織診断ツールを使って現状分析を行い、その結果こういうアプローチがいいですよ、と提案することがありますよね。
ただ、社会の複雑性が増すと、前提が色々変化するので (例えば、数年前までスマホがここまで普及しているという前提は無かったと思うし、海外航空券がここまで格安になるという前提も無かったと思います) その分析通りに行くとは限らないので、組織のメンバーが「正解がない中を対話をしながら共に試行錯誤をして歩んでいける」状態にならないとその変化に対応していけません。
「お金払って専門家に分析してもらってベストプラクティスを提案してもらいましょう」というアプローチは減っていき、自分たちで変化に対応して進んでいけるようになりましょう ( = そうなるためにコンサルタントなどの外部の力を借りましょう ) という流れになっていくのではないでしょうか。
あなたの組織の数年前ってどんな感じでしたか?
その時、今の状態になっていると想像できたでしょうか?
また、5年後の未来の組織の状況を描くことはできますか?
予測できない未来に向けて、柔軟に変化していける組織になっていく、そのためのアプローチとして対話型組織開発が今後増えていくのかもしれません。ちなみに、私がやっているシステムコーチングもあくまで「手法」の1つです。チームでコーチングを受けて関係が強化されることにより、共に進むのための対話ができるようになるために行なうもの。( 万能ツールではありません。)
私自身もこの分野に関して、もっと探求&実践していきたいと思っています。