ファシリテーターとしてレベルアップしたい方注目! IAF認定の資格チャレンジ体験記

げんどう ゆうこのアイコン画像げんどう ゆうこ

今回はファシリテーターの方向けの記事です。先日、IAFという団体が認定するCPF ( IAF Certified™ Professional Facilitator ) という資格を取得しました。この資格は取得のプロセスでとても実力がつくものなので、ぜひ他のファシリテーターの方にも紹介したいと思い、記事を書いてみます。

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そもそも、CPFって何?

CPFというのはIAF ( The international association of facilitators )という国際団体が認定している、ファシリテーターのプロフェッショナルを認定する試験です。 世界中に受験者がおり、世界各国のファシリテーターが取得を目指す資格の1つ。

日本では現在、取得者は20名ほどいます。(*2018年9月現在)  資格の認定試験は毎月いろんな国で実施されているのですが、日本で試験が実施されたのは2013年が初めてで、昨年にも1度あり、今回が3回目の実施でした。
 

この試験は、基本的に英語で実施なので、英語ができる方は開催されている国に行って受験することが出来ます。日本で実施するときには受験者が5名以上いる場合、面接と実技を日本語(同時通訳)で行うことが出来ます。

実は、この資格の存在を知ったのは2013年なのですが、その時にチラッと応募要項を見てみたら、当時の私にはまだ全然手が出せないレベルで「 さようなら〜 (/ _ ; )  」と忘れていました。

ですが! 今年の2月にFacebookを見ていたら株式会社クオリアの荒金さんがこんな投稿を!

すっかり忘れていたCPFのことを思い出し(笑)、何度かオンライン勉強会をして概要を聞いたところ、今の私なら受験出来る*と分かり、今年は試験の開催が日本で行われるということでぜひ、今回受験しようと決めました。

* 受験自体はお金を払えば誰でも出来ますが、最初の書類審査の段階で3年以内に実施したファシリテーションの実績をクライアントのサインとともに7件、提出する必要があるため、少なくともそれくらいの経験は無いと合格出来ません。講座を受講したらもらえる資格とは異なり、審査をして合否がつく試験です。

試験では何を審査されるの??

この試験はプロのファシリテーターとしての資質、知識、実績を証明するためのもので、試験はIAFの提示するコンピテンシーを満たしている人かどうか?で合否が決まります。

IAFのコンピテンシーとは?
IAFが世界中の会員の助けを得て、数年をかけて開発した基本的なファシリテーターの適性能力を示したもの。

IAFのページはこちら (英語)

日本語だとこちら

資格取得には関心なくても、ファシリテーターとはどういうことが出来る人のことをいうのかを知りたい人、ファシリテーションを学びたい人はぜひ、このコンピテンシーだけでも見てみると役立つはず。

個人的には、自分のファシリテーションを行うときに、このコンピテンシーをチェックしながら実践を意識すると実力がつくと思います。

試験は 1st stage (書類)と2nd stage (面接2回、実技)に分かれており、この全てて「私はこのコンピテンシーを実践しているファシリテーターです」とアピールしなければなりません。

また、相対評価ではないため、受験者が全員コンピテンシーを満たしていれば全員合格します。

合格するためにはとにかく

  • コンピテンシーに基づいたファシリテーションの実践経験を積むこと
  • コンピテンシーを理解し、自分なりに1つ1つがどんな行動、関わりになるのかを考えること

が大切。

繰り返しますが、あくまで「コンピテンシーを満たしたプロのファシリテーターか?」ということが問われます。ファシリテーションは非常に広い意味で使われる言葉なので、例えば研修講師でも研修ファシリテーターと表現したり、会議の進行をする人をファシリテーターと呼んだりすることがあるかもしれません。

ただ、この試験で問われるのは、そういう広い意味のファシリテーターではなく、あくまでプロとしてクライアントからの依頼を受けてファシリテーションを実践するプロセスの実践経験がある人、を指しています。よって研修講師やコーチ、コンサルタントの人が「私も広義だとファシリテーターだよね!」と思って受験すると落ちる可能性が十分にありますので、ご注意ください。

CPFの試験の流れ

ここからは受験に関心がある人向けになりますが、ぜひ取得者が増えたらいいなと思っているので私の体験を書いていきます。この情報は2018年9月時点のものなので、実際に受験したいと思ったなら、きちんとIAFのHPを確認してくださいね。

ちなみに英語でOK!という方はこちら に書かれていますので、そちらをどうぞ。日本語で体験記として読んでみたい方はこのまま読んでね。

試験は、以下の流れで行われ、エントリーから資格取得までは5ヶ月ほどかかります。受験日程をこちらのページで調べ、いつ、どの国で受験するかを決めたら受験したい日のエントリーの開始を待ちます。

全体の流れは以下の通り。

エントリー
Stage1  (書類審査)
Stage2  (面談2回と実技)

それぞれに関して、簡単に説明すると

エントリー

単純に受験しますという申請です。フォーマットに沿った簡単な申請書を提出&受験費の支払いをします。

1st stage

いわゆる書類審査です。経歴書 (自分で作成したもの)、書類審査用の申請書を提出します。ここで必要なのは、幅広い実績の提示 (過去の実績をクライアントや依頼者のサインと共に提出)、過去のトレーニング歴 (どうやってファシリテーションを学んだかの提示、主なものは証明書も送付)、そして自分の実績の中から1つ選んで、どのようにコンピテンシーを発揮したかの説明文を5000字で書く、というもの。

ちなみに、繰り返しますが英語の試験なのでここまでのやりとりも、書類の記入も全て英語。最後の説明文も「5000字?意外と少ないじゃん!」と思った人がいるかもしれませんが、英語で5000字 (正確には、5000単語)は結構な量があります…。

2nd stage

1st stageで一度審査があり、Pass (合格)かDeferred (延期、つまり再チャレンジしてね、の意味) の連絡が来ます。Passだった場合、1人に対して2人の評価者(Assessor)がつき、2nd stageは主に、その評価者とやりとりを進めていきます。

2nd stageは実技があるので、実際に自分の評価担当者をクライアントに見立て、テーマが与えられ、実際のクライアントとのやりとりを実践する、という流れになります。もちろん、人工的な立て付けになりますが、ヒアリングをすると評価者が事前に準備してある設定が回答として返信され、それを元に更にヒアリングを重ねていく、というもの。

そのやりとりを得て、実技のプログラムを提出し、当日は実際にやってみせ、更にその後面談で振り返り(ファシリテーター自身がどう自分と、場を振り返りするか?)をするという内容。中々大変なのがお分りいただけましたでしょうか…涙。

1st stageから2nd stageまでの期間は1ヶ月半ほどなので、その間はかなり大変でした。

2nd stage当日は、午前に面接、午後に実技、実技の後に再度面接を行い、その後合否がその場で言い渡されます。( &口頭でフィードバックしてもらえます。受験者のどなたもおっしゃいますが、このフィードバックがすごく良いのです。何と言っても1st stageから、自分の考え、やりとり、実践全てが見られているので、言われる言葉への納得度が格段に違う。)

また、現時点では私はまだもらっていないのですが、後日詳細なフィードバックシートが貰えるそうです。これも、過去の受験者の方が「これをもらうことに価値がある!」と口々に言うほどのもの。なんと言っても自分の担当としてついてくれる評価者自体がプロのファシリテーターです。なので私も今、このシートの到着を楽しみに待っているところです。

資格を取得することのメリット

ここまで読んでいただいた方はお分りいただけると思うのですが、この資格は取得までのプロセスそのものが、プロとしての基準を確認していくものです。また、プロのファシリテーターに自分のことを見てもらい、フィードバックしてもらえることは、ある程度自分で頑張ってきた人にとってはレベルアップの素晴らしい機会だと感じました。

まだ全然日本で知れ渡っている資格ではないですし、取得したからといって「すごいファシリテーターになりました 」ではないのですが、それでも現在ファシリテーターの方には取得をオススメしたい資格です。

海外では比較的認知度も高く、CPFを取得しているかどうかでファシリテーターとしての単価が異なることもあります。( ( 日本では何も起きませんので(笑) 、箔を付けたいなどと言う理由で取得したいなら、まだ時期尚早だと思います。ファシリテーターでもこの資格のことを知らない人もいますから…)

私も取得の際に、先輩ファシリテーターの皆様にたくさんアドバイスしていただいたり、支えていただいたので他のファシリテーターの方でも「取得してみようかな?」と思う人が増えたらいいなと思って記事を書いてみました。

ちなみにこの資格は4年ごとの更新性の資格です。よって取得後ファシリテーションをしなくなったら失効します。

今後取得を目指したい方へ

すでに実績がある方、英語ができる方
こちらに日程があります。受験頑張ってください!

すでに実績はあるが、英語が全然ダメという方
次回日本で開催されるのを待ちましょう。開催される時にも実技を日本語で行うためには5名以上の受験が必要になりますので、他にもこの資格に関心がある人を増やしていきましょう!

これから実績を作っていきたい方
コンピテンシーを見て、とにかくここに書かれていることが具体的にどんなことか、どんな関わりかを考えて実績を積んでいってください。 (不定期でコンピテンシーの勉強会も開催されているようなので、こちらのページもチェックしてみてください。)

私自身、取得するまでの道のりで学ぶことが多かったですし、これまでもプロとして仕事をしてきましたが、CPFを取得して改めてプロとしてスタート地点に立てたような気がしました。日本には素晴らしいファシリテーターがたくさんいると思っています。CPFの取得は多国籍の場のファシリテーターになりたい人が目指すべき最初のステップとして大きな助けとなるでしょう。

この記事が今後CPFに関心をもった人の役にたちましたら嬉しいです。

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対話ができる関係性・チームを築くために ワークショップデザイン × ファシリテーション でサポートする人。 プロフィール

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