[voice icon=”https://yukogendo.com/wp-content/uploads/0007_original.png” name=”げんどうゆうこ” type=”l”]今回は、ワークショップのファシリテーターをやってみたい!という方向けの記事。ワークショップを行うには、どんなスキルが必要で、それはどうやったら身につくの?ということを書いてみました。 [/voice]
そもそも、ワークショップって何ですか?
・ワークショップは講義など一方的な情報伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学びあったり創り出したりする学びと創造のスタイル
・双方向的、全体的、ホリスティック(全包括的な)「学習」と「創造」の手法
ーワークショップ -新しい学びと創造の場- から引用
ワークショップとは、元々の意味は英語のWorkshop (仕事場、作業場)という単語ですが、そこから転じて現在では上記のように参加者主体の学びあいの場というニュアンスで使われることが多い言葉です。
わたしが主催する場(=ワークショップ) は「対話」の場であり、どちらかというと話すことで自分自身について気づいていく場、または相手とのつながりを作る場であることが多いです。
よって、商品開発のためのアイデアソンのようなことをしたり、レゴとか何か道具を使うワークショップもあまりやったことはありません。
対話しやすくするためのきっかけ、という意味でビジュアルカードやアイテムを使うことは、よくありますし、もちろん付箋やカラフルなペンを使ったり、お菓子を準備したりと空間の設計にはこだわっています。
では、ワークショップを行いたい人はどんな力を身につける必要があるのでしょうか。
ファシリテーターに必要なのは、設計力と進行力!
ワークショップのファシリテーターには主に「設計力」と「進行力」が必要になります。
設計力は、大きく分けると全体のデザイン(何のために開くのか、ゴール設定、現状分析など)、プログラムデザイン(当日の内容や、どんな場所、しつらえで行うのかなど)
進行力とは 当日までの呼びかけ、当日の進行(分かりやすい説明、意見を出しやすくする促し、聞き、待つことなど)、まとめたり、次につなげる後押しなどです。 要は、開催の日にファシリテーターが行う関わりのことですね。
「ファシリテーションってなんか良さそう」と感じている人は良く「進行力」の方に着目しがちです。分かりやすいし、実際に進めている様子がうまく映ると、なんとなく自分もやりたいって思っちゃう。
でも、ただ、場を進行していくだけならまだしも、本当に話し合いの本質を明らかにしていくファシリテーションって本来は結構難しいんです。安心して話してもらtたり、参加者自身が当初思っていたよりもう一歩言葉にできるよう関わるって、さまざまなことを同時に意識する力が必要だからです。
初心者におすすめなのは、設計力をつけること!
話し合いを深めるために必要なファシリテーションに、さまざまなことを加味する必要があることを伝えるために1つ、例を挙げてみます。
例えば、ファシリテーターの人が最初に「ちょっと緊張しています」と言葉を発するのって、参加者にとってプラス(つまり、話しやすい、安心感を生む)でしょうか。マイナスでしょうか。
ちょっと考えてみてください。
答えは「どちらにもなりうる」です。
ファシリテーターが自信なさそうな印象の人だと「緊張しています」と発すると「何この人、自信なさそう…」と参加者に不安が走ることもあるし、ファシリテーターが結構、しっかりしてる印象の人だと「あ、この人も緊張しているんだ」と場が和らぐこともある。
そして、たとえ後者のファシリテーターでも、参加者があまり緊張していない雰囲気だったら「緊張しています」と言ったら「え?ファシリテーターの人が緊張しているの?」となる可能性もあります。
つまり、その場を進める上でのファシリテーション力というのは、話し合いに関わるさまざまなことを加味して、その場で最善と思えることを選んでいかないといけないんですね。
でも、設計力というのはある程度、事前準備でなんとか出来ますし、何だったら経験のある人と相談して作り上げることだって出来ます。
また、いくつかパターンを話ししたおけば、当日予期せぬことが起きたとしても対応力が上がる。そして何よりもしっかり準備したという時間は、当日の自分に自信を与えてくれます。
設計力・進行力をつけるには?
では、設計力・進行力はそれぞれ、どんなことを意識したら身につくのでしょうか。わたしなりにこうやって身につけてきた、そして現在進行形でこう学んでいるというポイントを書いてみます。
・設計力を身につけるには
まず、1番は気になるいろんな場に参加してみることです。良いファシリテーターは、決して主催するだけの人ではありません。ぜひ、いろんなプログラムを体験してみてください。そしてぜひそのプログラムを観察し、「あ、このステップはこんな効果があるな」と実感してみることです。
例えば、ワールドカフェをおこなう場に参加したとします。
- 体験する前と後、何が変わりましたか?
- 問いかけは考えやすかったですか?考えづらかったですか? 話しやすかったですか?
- 話しにくかったですか?(そしてそれはなぜだと思いますか。)
- ワールドカフェはどんな効果があると思いましたか。あなたならどんな時に使いますか。
など。こういう体験→振り返りを繰り返すことで、自分が設計する場合も「これをやってみよう」とアイデアが湧くようになります。 ちなみにワールドカフェの効果の1つは、テーマに対して多様な意見を聞き合うのに向いています。
なので、ワークショップの場で「アイデアをまずは拡散したい」というときに「では、ワールドカフェはどうですか?」と提案できるかどうか、これが設計力の1つ。 経験者ほどこの時に提案できる手数を、経験上持っていたり、ワールドカフェの効果的な進め方を知っていたりするのです。
また、もう一つ、わたしが手っ取り早く設計力を高めるためにおすすめしたいのは、協働主催することです。同じくらいの実力か、設計力の高い人と組んでワークショップを企画してみてください。
設計って一人で考えているとどうしても自分の視点でしか考えられないので、当日自分と違うタイプの人が参加していた場合の対応力がどうしても下がってしまう。
例えば、わたしは企業勤めの経験が少ないので、参加者に会社員が多い場を開くときには、なるべく会社員の人と組むようにしたりしています。また、わたしが自主開催の企画のほとんどが協働主催なのも、もちろん自分が好きな人と一緒に主催するのが楽しいからですが、同時にファシリテーターとしての実力がつくから、です。
また、もし周りに自分よりも経験があるファシリテーターの人がいるなら、気になる点をちょっと聞いてみるのもいいでしょう。「これはどうしてこのプログラムを選んだのですか?」とか。
きちんと設計しているファシリテーターなら必ず、ワークごと、またはステップごとに意図を持って設計をしているはずだからです。
* 宣伝になりますが、全体設計の考え方はゼロから始めるプロセスデザインというnoteを販売しているので、初心者で実際に場を主催する必要がある方はぜひ、見てみてください。
・進行力をつけるには?
進行力をつけるには、何と言っても話し合いに何が影響をしているかを観察するスキルが必要です。 同じく、どなたかの場に参加してみて、ファシリテーターの進め方をみてみて下さい。
経験あるファシリテーターほど、言葉に気遣っています。なので「今の言葉、説明が自分にどんな風に響いたか」を意識的に観察し、自分が進行する役割ならどんな言葉を使うかを考えてみる、これが大切です。
また、普段の会議の進め方などを観察してみるのもいいでしょう。進行している人の関わりや、言葉を聞いて「あ、今の言葉、関わりは話しやすくなったな」というポイントを意識してみる(または逆も)といわゆる「促進される関わり」がどんなものか分かってきます。
中級以上になりますが、進行力をつけるためにもう1つ必要なことは「自分を知っていること」です。 自分自身がどんな印象を他者に与えているか、自分はどんな場面でどんな心持ちになり、どう動きがちか、という意味。
わたしは人にしっかりした印象を与えがちで、どちらかというと黙って立っていると場を緊張させる傾向があると思っていますし、(違ったら盛大に突っ込んで下さい) 自分が黙って考えるのが好きなので沈黙をプラスに捉える傾向にあります。
つまり、話し合いを進行していて沈黙が訪れたら「あ、今何かが生み出されようとしているんだな」と待つ傾向にある。でも、沈黙って「本当に分からなくなって」静かなだけの場合もありますよね笑。
なので主催する場で沈黙が訪れたら「あ、きっと皆考えてるんだ♪」という反応が自分に沸き起こるのを感じつつ、そうじゃない可能性も観察するようにしています。
自分の傾向を知った上で、目の前の参加者を見てどう関わるかを判断できるようになると、ファシリテーターとして中級かなと思います。
もちろん、いろんな講座に行くのも良いのですが、ファシリテーションは最も「実戦から学ぶ効果が高い分野」ではないかと思います。
このブログでももちろん、ファシリテーションについて書いていますが、少しだけ専門的なことや、ファシリテーターとしての考えは note にも書いています。もし、もっと知りたいなと思う方がいらっしゃいましたらそちらもぜひ、ご覧になってみてください。
(参考) noteの人気記事
話し合いに影響するのは何ですか? 繊細で優しいあなたがファシリテーターに向く理由