[voice icon=”https://yukogendo.com/wp-content/uploads/picture_pc_09fd7b5a9dfd1648f7dbb8b5b8c03d38.png” name=”げんどうゆうこ” type=”l”]今日は、主催したコレクティブストーリーハーベスティング練習会という場の開催レポートです。ストーリーの持つ力について知りたい方向け、そして実施した内容も詳しく記載したのでファシリテーターの方にも役立つかもしれません。 [/voice]
先日コレクティブストーリーハーベスティング練習会 〜あなたが勇気を出したエピソード〜 という場を主催してきました。 元々、何度か経験したことがある手法なのですが、もう少し「主催側の経験が欲しいな」と思っていたので、今回は練習会と称して無料開催してみました。
コレクティブストーリーハーベスティングとは?
1人の話し手 (ストーリーテラー) の話を複数人がそれぞれ別の視点を持って聞き、聞き手がその視点から「どんな風にその話を聞いたか」をフィードバックし、話し手もそれを聞いて「自分のストーリーをどう捉えなおしたか」を語り合う。1人のストーリーからお互いに学び合う対話の方法です。
Art of Hosting の創始者の1人、monica nissénとストーリーアクティビスト Mary Alice Arthurの2人が考え、その後はArt of Hostingなどのいろんな場でアレンジされながら使われているそう。
話し手のストーリーを聞いた後は、全員で感想を共有したり、テーマに対して話し合ったり(例えば、今回は勇気というテーマにしたので、「私たちにとって勇気とはどんなチカラのことだろう?」とか「勇気を出すのに必要な条件は?」など、ファシリテーターが問いかけを設定して対話する)、同じ視点を持った人だけで集まって対話をしたり、テーマに対して聴き合い、学び合う時間を作ります。
今回のワークショップの流れ
今回のワークショップはこんな感じの流れで行いました。
最初に、会場に着いた人から順番にエントリーチェックという模造紙にシールを貼る形式で、今の自分の状態や今回のテーマとの自分の距離感、話し手・聞き手どちらに関心がある?という、今日のワークへの導入を行いました。
チェックイン (=最初に場に馴染むために1人一言ずつ話す時間) は
[aside type=”boader”]今日、何に惹かれてこの場に参加していますか?
あなたが今日、「話し手」になったらどんなストーリーを話しますか?
[/aside]
を付箋と紙に書いてもらい、紹介し合うという形式で行いました。
その後、簡単にわたしからコレクティブストーリーハーベスティングの説明をさせていただき、チェックインで紙に書いてもらったエピソードの中から、今回の話し手を決めてストーリーテリングへ。
グループ(今回は2つ)に分かれて下記のように進めました。
・聞き手がどの視点から聞くかを決める
・話し手が自分のストーリーを語る (20分) *ある程度長い時間を確保するのがポイント。
・聞き手が短く感想を伝え、それぞれの視点からフィードバック
・話し手がそれを聞いた感想を伝える
・話し手に「改めて、お話しされた出来事は自分の人生にとってどんな意味があったと思いますか?」とグループのファシリテーターが問いかける
こんな感じです。ちなみに、最後の問いかけは、話し手が自分で話をした後に自分のストーリーへの新たな視点に気づけたらいいなぁと思って、私たちがあえて取り入れました。(なので、コレクティブストーリーハーベスティングでは必ず最後にこの問いかけをする、ではありません。)
今回使用した聞き手の視点(問いかけ)
・話し手の願いはどんなものだとあなたは感じましたか?
・どんなところで、どんな風に話し手のエネルギーが変化したとあなたは感じましたか?
・このストーリーにタイトルをつけるとしたら、どんなタイトルが良いでしょうか?直感でネーミングをお願いします。
・話し手の大切にしていること、価値観はなんだと思いましたか?また、どこにそれが込められているとあなたは思いましたか?
・この話し手はどんな人、出来事に支えられていると思いましたか?
*5つ準備したのですが、聞き手が4名だったので4つ使用
ストーリーを聞き終わった後にそれぞれの問いかけから話を聞いて、浮かんだことをカードに書き、話し手に最後に渡す形式にしました。カードは一緒に主催したてっちゃんが作成してくれたよ。
グループに分かれての対話の時間が終わったら、再び全員で集まって感想を一言ずつ共有し、コレクティブストーリーハーベスティングの手法自体も短く振り返る時間をとりました。(以下のフレームで、思いついたことを付箋に書いてもらうという方法で行いました。)
本当はもっと色々やりたいことはあったのですが、会場を2時間しか使えなかったため、ここまででチェックアウト (=一言ずつ「今日どんな時間だったか」を伝えてもらった) して終わりです。
開催してみて感じたこと
コレクティブストーリーハーベスティングは、何度も体験したことがあるのですが (聞き手・話し手・主催どれも) 「ものすごいよかった…!」という時と「うーん。。そうでも、、なかったかも」という時と分かれる印象があります。 今回は話し手の方がすごく率直に話をしてくれたこともあり、個人的にはものすごく心に響く時間となりました。
というのも、今回私のグループの話し手の方はたまたま私の友人で、話の「内容」は結構知っていたんですね。「事実」は知っている内容だったのに、それをどんな気持ちで行っていて、そこからどんな「その人自身になっていったか」ということは聞いたことが無かったのです。
なので、事実だけ知っていて、そこから相手を判断することは、相手を知っていることに全然ならないんじゃないかなぁ、とすら思いました。 話し手の方のイメージが、元々は目立ちたがり屋だったのかなぁと思っていたけれど、とても繊細で自分を知るための勇気を出した人だったんだ…と。そんな風に変化しました。
10年以上知っている人だったのに、ようやくちゃんと、相手を知ったというか笑。それくらい心に響くストーリーで、1人の人が語るストーリーの静かなパワフルさを体感することが出来ました。
イベントって、何だかすごい人とされている人が一方的に話す場が多いですが、人は誰からでも学べるし、教わる言葉より、聞き入るストーリーの方がずっとずっと聞き手の心に残り、その人のエネルギーになるなと思いました。 今回、ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!
[box class=”blue_box” title=”参加者の声”] ビジネスパートナーのよしさんが、今回参加者として参加してくれ、かつブログに感想を書いてくださいましたので、ご紹介させていただきます!
対話の力② [/box]
[box class=”blue_box” title=”参加者の声”] 参加者の渡部さんもnoteに書いてくださったのでご紹介。いろんな人が書いてくれると多面的に振り返りが出来て嬉しいです。
コレクティブストーリーハーべスティングに参加してきた![/box]
[box class=”blue_box” title=”参加者の声”] 参加者でかつ、今回話し手をしてくださったたけしさんのブログ。話し手をやったことで何に気づいたかが丁寧に書かれています。
2018年最後に、、人生で最も勇気を出した出来事は?[/box]
[box class=”blue_box” title=”参加者の声”] 一緒に主催したてっちゃんのブログ。てっちゃんの「やってみたい!」と言う気持ちに後押しされて今回の企画となりました。
人は誰からでも学ぶことができる 〜コレクティブストーリーハーベスティング実施報告〜[/box]
<おまけ> ファシリテーター向け 設計のポイント
今回は、対話の場を主催したい、している人も参加者にいたので、コレクティブストーリーハーベスティングのポイントを書いておこうと思います。
・話し手の時間はある程度長い時間を確保する。 (20分くらい)
コレクティブストーリーハーベスティングは、話し手にほぼ一方的に自分のストーリーを語ってもらうので、聞き手は質問をしないのが原則です。 (途切れたり、方向性がとんでもなく違っていったらグループのファシリテーターが問いかけたり、介入することもある)
話し手がストーリーを語りながら、自分の気持ちを思い出していくのには時間がかかるので、10分とかだと出来事の説明で終わってしまうこともあります。それだと話し手も聞き手も自分の心を回遊する時間が持てず、ただ長い話を聞いただけ、になりかねません。
・聞き手の視点は固執させすぎないように
コレクティブストーリーハーベスティングは、聞き手が視点を持って聴くには聴くのですが、「その視点や問いかけを持って聴くとどんなことが自分に起きるか楽しんで聞いてください」くらいでOK。人は本来、自分の聞きたいように聞きたいので、この視点「じゃないといけない」と思うと聞き手が楽しめなくなるからです。
普段の自分の聞き方の中に与えられた視点を取り入れて聞いてくださいね、くらいに導入した方が良いですね。
他にもストーリーテリングの場を成功しやすくするには、設計にコツがあるのですが、それはまた今度、別記事で書いてみようと思います。