場作りをしたいすべての人へ - 「あり方」は「あり方」に呼応する

[voice icon=”https://yukogendo.com/wp-content/uploads/0014_original.png” name=”げんどうゆうこ” type=”l”]今日はファシリテーションに関する記事。ファシリテーター(本質的な話し合いがしやすくなるよう、促進的な関わりをする人)にとって大切なこととは?について書いています。[/voice]

 

私はここ数年、ファシリテーションを学び、実践しています。きっかけはNPOの活動を始めた後、メンバーが6人を超えたあたりからミーティングが上手くいかなくなったので、何とかしたいと思い「やり方」を学びたかったからです。

 

ファシリテーションを学んだことがある人なら誰でも、空間デザイン(場所・机・椅子の位置)、グループサイズの変更、チェックイン・アウトなどの「やり方」を知っているでしょう。もちろん、やり方を工夫することは大切です。

 

 

ただし、場のファシリテーションをするときに、最も影響を与えるのは「やり方」ではなく、その人の「あり方」です。この「あり方」の重要性に気づけたこと、が今のところファシリテーションを学んだ最大の収穫だったりします。

 

 

「あり方」というのは、話し方や姿勢、表情や視線、呼吸の仕方などの状態のこと。その人の持つ空気感・存在感。そして、あり方というのはその人の内面・心の状態がにじみ出るということを忘れてはなりません。

 

 

例えば、ある程度の人数で会議をしていてあまり意見が出なかった時にグループサイズを変えるというやり方があります。 ( 8人で話をしていて意見が出づらいところを、4人×2の少人数グループに変えて話し合ってもらうことで意見を出しやすくするという手法 )

 

 

やり方はやり方としてもちろん有効なのですが、この時ファシリテーターの心理状態として「本当に意見が出るんだろうか…」と焦っており、それが表情に出てしまっていたらどうでしょうか。 「じゃあ、人数を4人ずつに分けて話してみましょうか」と言いつつも声のトーンがうわずっていたら? 焦って参加者をキョロキョロ見渡すような視線を送っていたら?

 

焦りが伝わって参加者は「何か言わないとまずいかも…」と気を使い出すかもしれないし、気を使い出しながらひねり出した意見など、たいていその場にとって本質的で有益なものにはなりません。

 

皆さんも仕事で会議の進行を任された時に「しーん…」としてしまう瞬間が耐えられず、自分で話をして場をつないだり、無理やり指名したりしまったことはありませんか?

 

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けれども逆に、ファシリテーターが参加者のことを心から信じていて暖かい視線を送りながら「こう考えたらどうかな?」と伝え、待つことができたらどうでしょうか。もしかしたら8人のグループサイズを4人に変えるという「やり方」を変えなくても意見は出るかもしれません。

 

 

人は「あり方」に呼応するのです。だからこそ、その場をホールドする立場のファシリテーターのあり方は参加者へ大きな影響を与えるのですね。人は思っている以上に視線、表情、声のトーンなど、些細なサインを他人から受けとっています。

 

 

そして、ファシリテーターがミーティングなどの場に与える影響が大きいとしたら、コミュニティで大きな影響を与えるのはリーダーです。コミュニティの雰囲気は中心メンバーのあり方が決めると言っても過言ではありません。

 

不思議なことですが、NPOの活動も私の心理状態が良くない期間が続くと停滞する傾向にあります。心理状態が良くなくても基本的にミーティングの場では取り繕って良い状態に見えるようには心がけていたのですが、そんな表層をかするような対応では全然ダメ。

 

なので、私は活動するにあたって「自分が良い状態でメンバーの前に在ることができるか」を最も気にしています。自分自身のことを弱さや嫌なところを含め、認めて受け入れることが出来ているだろうか。 自分のことを心から信じることが出来ているだろうか。自分がまずワクワク楽しんでいるだろうか、とか。そういうことです。

 

内面は、自分の表情、視線、言葉にすべて現れます。そのあり方がコミュニティに参加している人に(無意識に)影響を与え、参加者が徐々に呼応しだすのです。

 

例えば自分のことを信じていない人は、他の人の力を信じることは出来ないので、そういう人がリーダーだった場合、そのコミュニティの参加者は「自分たちは信頼されていない」という無意識のメッセージをその人のあり方から受け取ります。 自分たちが信頼されていないと感じる場で人は、言いたいことも言わないし、力を発揮することはありえない。

 

だから、リーダーはあり方がすべて。私はそう考えています。

 

私がたまにファシリテーションやコーチング講座に行くのは、もちろんそこで学ぶ知識ややり方を、仕事やNPOの活動に活かしたいと考えているから。けれど、それ以上に場を創ること、人と向き合うことを深めると、その過程で何度も何度も自分のあり方が問われ、鍛えられるから講座に行っていると表現したほうが正しいです。 そうやって身につけた私の「あり方」が仕事のプロジェクトにも、NPOの活動にも最も影響を与えるのだと信じているからです。

 

今回、ファシリテーターやリーダーを例に出して書きましたが、別にあなたがそのような立場である必要はないと思います。人は多かれ少なかれ影響を与え合うもの。今いるコミュニティをもっと良くしたい、そう感じているならあなたの「あり方」がそのコミュニティにどんな影響を与えているか、ぜひ見つめなおしてみて下さい。

 

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対話ができる関係性・チームを築くために ワークショップデザイン × ファシリテーション でサポートする人。 プロフィール

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