誰を乗せ、そして誰に降りてもらうのか。NPOの「誰バス問題」を考える

[voice icon=”https://yukogendo.com/wp-content/uploads/0014_original.png” name=”げんどうゆうこ” type=”l”]今回もNPOの運営に関する記事。NPOでなくともコミュニティマネジメントをしている、何かしら活動を立ち上げたいと思っている方向けの記事です。[/voice]

 

 

NPOのリーダーの方と話をするとよく話題にあがるものに「誰バス問題」というのがあります。要は誰にバスに乗ってもらうのか、( = 誰に活動に参加してもらうのか) という話なのですが。

 

これは「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」という本の一節で触れられている問題です。

 「適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決める。」

この言葉が表しているように、組織が飛躍するためには、「何をすべきか」よりも「誰をえらぶか」から始めることが大切なのだそう。

 

これってちょっと不思議な感じがしますよね。大抵の人は偉大な経営者が新しいビジョンと素晴らしい戦略を策定し、そこにいいな〜と思った人が集まるものだと思っていませんか?  私も以前はそう思っていました。何度すごい事業計画書作らないとと思って挫折したか数えきれないですねぇ… (遠い目…)

 

ただ、複雑性が高く、柔軟に変化が求められる今の社会では計画に沿って進み続けることはほぼないと言っていいでしょう。何より「何をすべきか」に集まったメンバーでは変化に弱いのです。何をすべき、の「何」が変わったら離れていく人ですからね。

 

そして、集合知から創りだす計画のほうが1人で考える計画より、よっぽど面白いし、何より皆が動きたくなる。そもそも1人で考える「何をすべきか」などたかが知れてますし、皆が動きたくならなければ活動の成果にはつながらないのです。

 

以下の一節も有名です。

「このバスでどこに行くべきかは分らない。しかし、分っていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」

 

さらに、適切な人にバスに乗ってもらうのと同じくらいに大切なことは「ふさわしい席についてもらうこと」そして「不適切な人に降りてもらうこと」

 

 

組織では、適切な人にバスに乗ってもらったとしても成長と変化が訪れます。もちろん、一度バスに乗ってもらった人なら、長く、いつまでも乗っていてもらいたいと願うのが代表やリーダー (のはず…)  それでも、バスを前に進めるためには席を入れ替えたり、時には降りてもらうことも必要なのです。

 

 

私は情に脆いのか、なかなかこの「席を変えること」そして「降りてもらうこと」が出来ずにいました。(ものすごーーくバスが遅くなっていても、です)   ミッションへの共感と気持ちを推し進める行動力が下がった人は後ろの席へ、そして、その想いに陰りが見え出した人は、とても寂しいですが、降りてもらうことを覚悟しなければなりません。

 

※余談ですが、以前悩みまくった私は、何名かのNPOの運営者 (多くの人を巻き込んで活動に成果が上がっている団体、かつ組織の方針として1人のリーダーに頼らない方針を採択している団体。自分にただ付いて来て欲しいというリーダーの元では誰バス問題は発生しないため)に実際に聞きにいきましたが、答えは一貫して「不適切な人は降ろします」とのことでした…。ですよね…。

 

今でも、誰かにバスを降りてもらう時には悲しくて涙が出ます…何といってもそれまでたくさん支えてもらったのですから。

 

それでも、きっとその人にはもっと適切な次のバスがあると信じて、今の仲間に居続けてもらうこと、そして次の適切な人を探すことがバスを進めるために、実はとても大切なのです。

 

実際に、活動を続けてみて、気持ちやコミットメントが下がったメンバーの席を後ろにし、上がりそうなメンバーに前の方にきてストレッチしてもらうことで別の道が開けたり、不適切な人に降りてもらったことで逆に進みが早くなったりということも経験し、徐々に「ふさわしい席」と「降りてもらうこと」の意味も分かってきました。組織は生き物なので、心をこめてメンテナンスする人が必要なのですね。

 

もし、あなたが何かしらチームや組織を運営しているなら、「誰を乗せるか」「どこに座ってもらうか」「誰に降りてもらうか」をきちんと見極めるようにしましょう。

 

素晴らしいビジョンと完璧な計画書があっても、適切な人が集まっていなければそこに命を吹き込むことはできないでしょう。しかし、適切な人が集まっていれば、共に進みたいビジョンや、計画という「何をするか」を創りだすことは出来ると思うのです。

 

私が好きな面白法人カヤックの代表の方が書いている「何をするかより誰とするか」という記事もご紹介。「誰バス問題」とかいうと少し堅苦しいけど、要はこういうことだと思う。

何をするかより誰とするか

 

 

Profile

対話ができる関係性・チームを築くために ワークショップデザイン × ファシリテーション でサポートする人。 プロフィール

このブログでは仕事の裏の学びや暮らし、自分の好きなことについて書いています。記事のシェアも嬉しいです!

table of contents
閉じる